社長メッセージ
私が科学者になることを夢見ていた1970年代、21世紀の初頭には「がんの治療法が確立し、がんは完治する病になる」という予想がありました。私は医学部を卒業した後に、少年の頃の夢を叶えるかたちで科学者になりました。そして、私自身も最初の研究に関わったPD-1という分子を出発点とした免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療の新時代を拓きました。研究することに寝食を忘れるほど夢中であった20年間、科学史に残る数々の研究成果がうまれ社会へと還元されていていく躍動を誰よりも身近に体感できたことは、研究者冥利のひと言に尽きます。
文部科学省から発表された最新の科学技術予測調査では、2030年過ぎに「次世代ゲノム編集技術による遺伝子修復治療の実用化」や「全ての皮膚感覚の脳へのフィードバック機能を備えた義手」や「動物の胚とヒト幹細胞由来細胞のキメラ胚から作出されるヒト移植用臓器」などの実現が予測されています。このように、科学技術は、医療・ヘルスケアの分野のみならず様々な分野で急速に発展し、その恩恵を受けた人類の暮らしは一層豊かなものになるでしょう。20年先、30年先の世界はどうなっているのか、想像を巡らせるだけで胸が高鳴ります。
さてAmvisという社名は、Ambitious Vision(大志ある未来像)からの造語です。私たちは、医療やヘルスケアの進歩に貢献したい、そして、その恩恵をあまねく多くの人々が享受できる社会の実現に貢献したいと考えています。私たちは、サイエンスやテクノロジーではなく、仕組みをイノベーションすることで社会課題を解決し、かつ利益をあげることを実現します。その第一歩として、慢性期と終末期の病床から医師の機能をアウトソーシングするというアイデアをもとに、ホスピス「医心館」という独自の事業を提案、実践し、都市部から過疎地域まで広く展開、どの地域でも事業化し最期まで医療(療養)を得られる暮らしを提供できる可能性を示したことで医療介護業界に「ホスピス」という事業領域を確立しました。
未曾有の少子高齢多死社会に直面するわが国では、病院機能の分化と強化を図ることを目的として、政府が入院日数の短縮と在宅復帰を推し進めています。その中で、慢性期と終末期にある医療依存度の高い患者が退院後の行き先を失う問題が発生しています。過疎地の病院においては、新型コロナウイルス感染症の発生の有無に関係なく、過密な労働環境で疲弊した医師が退職することを出発点として、医療サービスを継続して提供することが難しくなり、病院経営も疲弊、ついには破綻することが少なくありません。これらは、日本のどこかではなく、どこにも起こり得る社会課題です。私たちは、ホスピス「医心館」という新たな切り口で、わが国の医療課題をひとつひとつ解決していきます。
Amvisは創業して間もない会社ですが、業界におけるリーディングカンパニーであるといった過分の評価をいただくことがあります。しかし、私たちは現状に満足しておらず、まだまだ大きく飛躍したいと考え「世界で最もエキサイティングな医療・ヘルスケアカンパニーへ」という目標を掲げました。ホスピス「医心館」事業に続く第二、第三の事業を創生し100年続くカンパニーを目指してまいります。そして、大志ある未来像を見据え、重要で本質的な価値を創出するために、時には常識も疑い、斬新な解決策を模索するハングリーなチャレンジャーであり続けます。